自転車が好きだった

昔むかし小学校の3年生の時、ナショナルのハイフラッシャーちゅうテ−ルに方向指示器のついた
最新兵器の自転車があったん、この自転車は39,800円もしたんや〜。39,800円とは間違いなく4万両なんや
昔からあるあごぎな値段のつけ方でわずか200円まけるだけで3万両台やが間違いなく4万両や。
この4万両の自転車の値打ちはサラリーマンの給料が7、8万両の時代やから今でゆったら15万両くらいになる。
そんな高価な自転車を回りの友達が(多分親は泣いとったやろが)買ってもらってたんや、自分も欲してほして仕方がなくて
欲しそうにしとった自分を見て、親父が買ってくれる云うて自転車屋に連れてってくれた。しかし置いてある自転車の前に掛けてある
値段表を見て親父は腰が抜ける程、値段の高いのにビックリとしたんやと思う。その時の親父の瞳孔が開いた目を見てアワワ「買ってもらえやんのや」ウゥ〜と寂しげな顔をした自分を見てムリしたんやとろな。自分も親父の気持ちがわかったし買ってもらえそうに感じた時うれしかったな。けど無理しとるし自転車屋のおっちゃんと月賦(今は死語のローンの事)の交渉して金利もあるし4万両のハイフラッシャーは「無理云うたらあかん」あきらめて、3万1000円のナショナルハイフラッシャーと殆ど同じの(8000円安いのは後ろの方向指示器が付いてないん)を買ってもらった。友達には「なんやお前のはハイフラッシャーと違うやないか」とバカにされたが俺自分は苦労して買ってもらった自転車がすごく好きやったから「俺はこれが好きや」と思った。ハイフラッシャーを買ってほしかったが、俺はハイフラッシャーが乗ることができんだからすごく自転車が好きで自転車はずっと乗ってたいと思うようになったんや。まだ仮面ライダーもやってないウルトラマンの時代の話や。   ハイフラッシャー買ってもらっとった子も皆借家住まいの子やったで皆裕福ではなかったんやと思う、俺だけや無く皆自転車が好きやった時代なんちゃうかな。そやで40歳、50歳代は自分と同じように自転車好きなんや思う。自転車にはいっぱい思い入れがあって夢がつまってたんや(自転車たとえママチャリでも道に自転車が捨ててあると寂しいしムカつくな)